学会案内
1. 学会の概要
公益社団法人日本生体医工学会(旧: 日本エム・イー学会)は、"本会は、生物学における電子工学、機械工学などの方法、および工学における医学、生物学的知見の応用に関する研究の発展、知識の交流および社会における事業の振興をはかることを目的とする"とその定款にあるように、医学・生物学と理工学との中間領域に関係する研究者の協力の場として昭和37(1962)年11月10日に設立されたものです。 この分野はmedical electronics、medical engineering、biological engineering、bio-medical engineeringなど種々の呼び方があり、適切な日本語訳がないので学会の名称としてはエム・イーという言葉を用いることになりました。 英文名はJapanese Society for Medical and Biological Engineeringとしております。
公益社団法人日本生体医工学会(旧:日本エム・イー学会)は現在、約2,700名の会員を擁し、学会の主な事業として、機関誌の発行、定期大会の開催、専門別研究会および委員会の開催、IFMBEなど国際協力、国内他団体との協力、支部総会の開催、さらに優れた研究業績のある者の表彰または奨励があり、活発な活動を行っております。 本学会はいっそうの発展を期して、従来の組織を法人として改めることになり、昭和49年4月26日設立総会が行われ、昭和50年3月15日文部省より認可されました。
2. 設立趣意書
(1) 日本ME学会設立趣意書 (昭和37年11月10日設立)
医学はそれが基礎的であると、臨床的であるとを問わず、工学との積極的な協力によって、各方面において工学的な手法と技術を取り入れ、その現象的解明を進展させると同時に、診療面においても、より有意義,有効な手段の提供に努力が向けられる必要がある。 これは諸産業において,エレクトロニクスの導入が一大革命をもたらしつつあるのとその軌を同じくするものである。
医学に工学諸分野の技術をいかに取り入れるかという問題は、それが医学と工学との境界領域にあるために、両者の緊密な連繋が必要なのは勿論であるが、工学側においても、単に電子工学のみでなく、広く機械工学、精密工学、応用物理学の協力を俟たなければ充分な成果を挙げることができない。
一方、生物においても、また、エレクトロニクスを中心とした種々の工学を適用し、生体工学的概念を具体的に進展させる必要を痛感する。
以上のような境界領域における研究の必要から,我国においても、いくつかの研究会が待たれて今日に及んでいる。科学技術庁においても、その重要性を認めて、数年前からその進展策を検討し、厚生省においても、最近具体策が実現しつつある。また、諸大学にも、この方面の講座が漸次設置される機運にあり、この領域の研究者は急激に増加しつつある。
すでに、諸外国においては、この領域に対する何等かの形の学協会が設立されており、1958年以来毎年開催されているInternational Federation for Medical Electronics(IFME)においては、1962年より各国にあるこの種の学協会の連合体としての国際的団体に再編成されることになった。
このような情勢をわが国の立場から考えると、国内的にも、また国際的にも、医学と工学との連繋の場となる学会を設立し、両者の緊密な協力の下に、この新しい分野の急速な開拓と進展をはかることが目下の急務であると思われる。
以上の観点から、これを解決するために、本学会は医学、生物学と工学との中間領域として考えられる広い範囲の諸問題に興味を持つ研究者、技術者、実務者のための場となることを目的とする。
(2) 社団法人日本生体医工学会(旧: 日本エム・イー学会)設立趣意書 (昭和49年4月26日議決)
日本ME学会は、医学と工学の間に新しい境界領域に対する学会として、電子工学、機械工学の方法を医学生物学に応用し、また医学生物学的知見を工学に応用するための研究の発展、知識の交流、社会的事業の振興などを目的として、1962年11月に創立された。本学会は、その後会員の努力と、関連学協会・官公庁・民間諸団体の協力により、わずか10年の間に、会員数・事業規模などに驚異的な発展をとげ、国内的・国際的地位を確立するにいたった。
国際的には、本学会は国際医用生体工学連合(IFMBE)に加盟し、米国につぐ規模の有力加盟団体として、国際組織において指導的役割を果たしている。すでに1966年に第6回国際ME会議を主催したが1976年には第5回国際心臓ペースメーカシンポジウムを共催するほか、多数の国際的学術会合への協力活動を行なっている。とりわけIFMBEの活動のうち、開発途上国援助、ME安全対策、MBE教育などについては、日本ME学会がその指導的役割を果たすことが期待されている。
学会設立以来、いわゆるMEの意味する範囲は非常に拡大され、今日では広く医療・保健に役立つ工学技術全般と、工学技術開発への医学生物学からの貢献を目標とするようになった。本学会はこのような研究領域の急激な変化に充分対処してきたが、現在科学は一つの転換期を迎えており、物理と化学の時代から、生命科学を中心とする総合科学の時代へと移行しつつあるといわれており、本学会は、このような時代の推移に対処するため学問的・社会的にさらに一層大きな役割を果たすべき立場におかれている。
いっぽう、社会においては、情報化社会、社会福祉優先、国民生活と社会の変容など大きな変化が予想され、これら諸問題の解決にも、本学会領域の研究と技術の果たすべき役割は極めて大きい。
日本ME学会はこのような科学の進展と時代の要請を充分認識し、その社会的地位を確立し、将来の社会に果たすべき役割の大きいことを考慮し、ここに従来の日本ME学会を法人格に持つ団体として、社会的地位を明確にし、関連国内・国外機関との協力を円滑ならしめて、その活動のいっそうの飛躍的発展をはかろうとするものである。